『インドの母と子の物語 シャムチアーイー』(坊守中川將子訳)完訳版出版のお知らせ2025.02.20 03:00 『インドの母と子の物語 シャムチアーイー』 詳細・購入はこちら ホームページを通して読んで下さった方々からの声に励まされ、この度『インドの母と子の物語 シャムチ アーイー』として全話を出版することとなりました。 一人でも多くの方にこの本を読んでいただき、イン...
【未掲載版 最終話】第十七話 母の最後の病気2021.07.03 03:00 シャムは病気でした。体には熱もありました。目を閉じて、彼は横になっていました。 「シャム!足を揉もうか?」とゴウィンダが尋ねました。 「いいんだよ、僕の足を揉んで、何になるって言うんだい。僕の世話なんて、しなくていいんだよ。君達はそれぞれの仕事をしてくれよ。あのモーハン・パート...
【未掲載版】第十六話 貧しき者が受ける仕打ち2021.06.26 03:00 シャムは話し始めました。 「僕たちの借金は、日に日にふえて行った。期限までに利子さえも払えなかったからだ。僕達は土地をいくらか持っていた。父が最初にその中の大きな畑をひとつか、ふたつ売っていたならば、ほとんど全部の借金は返済することが出来たはずだった。その上に、食べてゆくのに充...
【未掲載版】第十五話 借金は生きながらの地獄2021.06.19 03:00 その日、金貸しの使いの者が借金の利子を取り立てるために、僕達の家に来ていた。この使いの者が家に来ると母は死ぬよりも辛い気持ちになるのだった。借金のせいで、人生の幸福は消え去る。借金は生き地獄だ。死んでも借金などすべきではない。食べる物を食べなくても、借金だけはしてはいけない。借...
【未掲載版】第十四話 偉大な人になるための盗み2021.06.12 03:00 「僕達の村から、少し離れた所に、ラータワンという村がある。それはファドケ家の村だった。ファドケ・イナームダール家の人々は今でもそこに住んでいる。有名なハリパント・ファドケもこの一族の出身だ。父とこの一族とはとても親しかった。ラータワン村のバラワントラオ・ファドケはいつも父を訪ね...
【未掲載版】第十三話 兄弟愛の教え2021.06.05 03:00 「5月の休暇の頃だった。僕達兄弟はその時、皆、家に集まっていた。プーナの母方のおじの所へ、勉強のために行っていた一番上の兄も家に帰って来ていた。彼はプーナではやった天然痘(てんねんとう)にかかったのだった。病気はとても重かった。体にすき間がないほど斑点(はんてん)がびっしり出て...
【未掲載版】第十二話 神様にとってはあらゆるものがいとおしい2021.05.29 03:00 「夕方の4時から5時頃だった。休暇だったので、僕は家に帰っていた。母はお寺にお参りに行っていた。僕は家にいた。母がお参りから帰った時に僕は尋ねた。「お母さん!僕は外に行ってもいいかな?カマラ・デオダルか、バニャー・ワルワデカルの家へ行くよ。ゴンダレカルのバプーが来たら、多分、バ...
【未掲載版】第十一話 ソーマワティ・アワス2021.05.22 03:00 「月曜日に月のない夜が当たると、ソーマワティ・アワスと呼ぶ。その日に、ソーマワティの行(ぎょう)をするブラフミンの結婚した女の人達はピンパルの木を礼拝する。ソーマワティ・アワスの日には、何かを108個、神様にお供えしなければならない。108個のパーン(食後に食べる嗜好品)、10...
【未掲載版】第十話 両性具有のシヴァ(半身が女性の神)2021.05.15 03:00 「5月の休暇に、僕は家に帰っていた。僕は英語学校の4年生になっていた。僕が家に帰ると、母はとても喜んだ。というのは、彼女はいつも病気だったからだ。ある日、熱が出て、次の日に熱が下がると、母はまた仕事を始めなければならなかった。熱が出たら、休み、熱が下がればまた働くのだった。彼女...
【未掲載版】第九話 ドゥールワのおばあさん2021.05.08 03:00 「僕達の家に遠い親戚のおばあさんが一緒に住んでいた。名前はドゥワールカだった。僕の父が家を出た時に、一緒について来たのだった。彼女は田畑を持っていたが、その管理は父がしていた。彼女は父をとても可愛がっていたので、父の所に住むようになった。僕達は彼女にドゥールワおばあさんというあ...
【未掲載版】第八話 味のないおかず2021.05.01 03:00 ラージャとラームは川のふちに行っていました。大きな岩の上にふたりは座っていました。「ラーム!僕はここを立ち去りたくないよ。ここのこの川、この景色、この孔雀(くじゃく)達、これらを見ていると、何て楽しいんだろう。でも、中でも一番大きな喜びは君が一緒にいることだよ。シャムのお話も聞...
【未掲載版】第七話 ラグパティ ラーガウ ラージャーラーム(ラーマ神の讃歌)2021.04.24 03:00「僕は幼い頃、神様を熱心に信仰していた。色々な神話を読んで、心の中に信仰の種をまいていた。そして、その種は少しずつ大きくなっていた。学校の友達はしばしば、僕の家に集まって来たが、そんな時、僕は神様の話や、聖人達の話しをしたものだった。僕は家で小さなおもちゃのお寺をこしらえた。小さ...