広報だざいふ令和2年5月1日の私のだざいふに掲載された記事を紹介します。
階段を上がり視線を右に向けた途端、「おぉ~」 という叫びに近い声を発した瞬間を数十年たった今でもはっきりと憶えています。観世音寺を訪問する度に、「宝藏」所蔵の観音像との対面が楽しみです。何度観ても不空羂索(ふくうけんさく)・十一面・馬頭観音像(ばとうかんのんぞう)いずれもその存在の大きさに圧倒されつつ、像の細部に宿る精緻な表現につい引き込まれてしまいます。これらの観音像は、「神通変化して種々の姿をとった観音」という意味から変化観音(へんげかんのん)と呼ばれています。最近の研究で、これら変化観音の源流をインドにたどれることがわかってきました。馬頭観音は、インド古代語サンスクリット語では、ハヤグリーヴァ(馬の頭をもつ者)といい、その単独像がガンダーラで発見されています。頭上に馬頭をもつこの坐像は、銅製三面四臂(さんめんしひ)馬頭観音菩薩とよばれ9世紀頃に作られたようです。インドから中国を経て大宰府へと変遷を遂げながら伝わった観音像に、会ってみませんか。
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