「遺爪(いそう)」―戦後80年を迎えて2025.08.11 00:00 アジア・太平洋戦争の敗戦から80年目を迎える本年、浄土真宗本願寺派では各地で「戦後80年戦争犠牲者追悼法要」が勤められています。西蓮寺が所属しています福岡教区御笠組(みかさそ)でも、9月11日に追悼法要を勤めることになり、実行委員会を設置して準備にあたっています。 「追悼」とは...
木造に染みる「念仏の声」2025.01.09 03:00 近頃報恩講や永代経法要においても、なかなかお念仏の声が聞こえてこないというお話を伺いますし、私もそのように思っています。以前は、本堂からお念仏を称えておられる声が聞こえただけで、誰々さんがお参りにこられたのがわかるということもよくありました。 皆さんは、ご家族とりわけ先立たれた...
歌人親鸞さん2023.01.18 03:00 本年2023(令和5)年は、1173年に誕生された親鸞聖人の御誕生850年目の年にあたり、また聖人が浄土真宗の教義体系をまとめられた主著、『教行信証』が成立したとされる年1224年から来年で800年となります。この御誕生850年、立教開宗800年を祝う法要、慶讃(きょうさん)法...
月のウサギはどこから来たの2022.11.17 03:00 11月8日の皆既月食を観られた方も多いことでしょう。西蓮寺は、東の方角に山がありますので、皆既食の始まる時間帯は境内から月が見えません。そこで孫と一緒に坂を下り、お隣のご門徒田原さんご一家とともにその瞬間を迎えました。続いて迎えた天王星食が始まる瞬間は、境内に据えた反射望遠鏡を...
居場所があるという救い2022.04.19 03:00 すべての人々は暴力を恐れる。 すべての人々にとって、いのちは愛しい。 自分におきかえてみて 殺してはならない。 殺させてはならない。 (『法句経(ダンマ・パダ)』130) 今私たちは、ウクライナやシリア、ミャンマーなど世界各地において戦禍や政変に迫られ、故郷や母国と...
智慧の灯火2021.12.27 03:00 古代より人々は、「火」や「灯火」にいろいろな思いを込めてきました。 インドの古代宗教の聖典は、「ヴェーダ」と呼ばれ、紀元前1200年頃から約千年の時をかけて成立しています。祭式における儀式やことばの解釈などを記した聖典の中で最も有名な『リグ・ヴェーダ』は、自然神など神々への讃歌...
二河白道の喩え2021.09.21 03:00台風一過の青空のもと、稲刈りがすんだ田のあぜ道のあちこちに彼岸花咲く中、秋の彼岸を迎えました。 お彼岸にお伝えしますお話として、「二河白道(にがびゃくどう)」の喩えがあります。「二河譬(ひ)」とも表現されるこの話をもとに描かれた絵を、ご覧になった方もおられるのではないでしょうか。...
死を念う(マラナ・サティ)2021.07.07 03:00ジャーナリスト立花隆さんが2021年4月30日に逝去されていたとの報に接し、これまで立花さんの著書や発言をとおして、多くの刺激を受けながら知的好奇心を高めていたことを思い出しています。 仏教や生命倫理の授業では、脳死、臨死体験さらには宇宙から帰還したパイロットの話など、立花さんの...
思惟する時2021.05.16 03:00 コロナウイルス感染症の拡大が続き、福岡県にも緊急事態宣言が発せられました。勤務校では、昨年度の卒業式を何とか無事に終え、前年度の入学生も含めた2021年度入学式を挙行し、9割近い授業を対面で行っていました。しかし、宣言の発令とともにほとんどの授業を遠隔で行うこととなり、再び学生...
親鸞聖人のご命日2021.01.11 03:00 新年のご挨拶を申し上げます。新型コロナウイルス感染の拡大が心配される中で新たな年を迎えることとなりました。皆様にはご清祥にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。 浄土真宗の宗祖親鸞聖人は、弘長2年11月28日、現在の暦では1263年1月16日(この命日のことを正忌(しょうき)と...
「成道会(じょうどうえ)」―釈尊が悟りを開かれた日2020.12.06 03:00 釈尊の生涯に深く関連する日のひとつが、12月8日です。 この日は何の日ですかとお尋ねすると、「太平洋戦争開戦の日=真珠湾攻撃の日」「ジョン・レノンが亡くなった日(今年は40年目を迎えます)」、あるいは地方によっては「針供養の日」という答えが返ってきます。「お釈迦様がお悟り(さと...
対機説法2020.10.25 03:00 コロナ禍のもと、全国のほとんどの大学では感染拡大防止のために、本年度前期に引き続き後期もまだ多くの授業が遠隔(オンライン)で実施されています。学生の皆さんも先生方も戸惑いや様々な課題を抱えつつも、遠隔という新たな方式での授業の実施に、真摯に取り組んでおられます。そのような中で、...