第二十夜 油がある時には塩がない2020.06.28 03:00 ぼくの家では、生活はますます苦しくなった。家では何もかもが不足していた。油がある時には塩がない。塩がある時にはトウガラシがないといった状態だった。かまどにくべるまきがない時もあれば、牛乳を温めるための牛ふんの燃料がないこともあった。そんな時、母は庭を歩き回って。小枝や枯れ葉を集...
利他を生きる2020.06.28 03:00 コロナ禍の中、メディアを通して世界中の思想家・識者の発言や提言が届いてきます。 20年6月13日に放送されたNHKスぺシャル「混迷のアメリカ ―コロナ時代 世界で何が起きているのか」において、ミッテラン大統領以降歴代大統領の政策顧問を務めヨーロッパ最高の知性とも称されるフランス...
第十九夜 さよなら、お母さん2020.06.21 03:00 ぼくは、勉強のためにアウンダ州に行っていた。しかし、神さまはそこからぼくを追い出そうとしていた。ぼくはアウンダでなんとか毎日を過ごしていた。けれども、それについて詳しくは話さないつもりだ。貧しい人々はみな、そんなふうに日を送らねばならないものだから。ぼくは母の思い出を話している...
第十八夜 貧しい者の夢2020.06.17 03:00 シャムは近ごろふさぎこんでいるようです。お母さんの思い出話をしているせいではないでしょうか。お母さんの不幸なつらい人生を思い出して、彼もつらくなったのではないでしょうか。「シャム、君はこのごろ、笑顔を見せないね。どうしてそんなに悲しそうにしているの?いったいどうしたの?」してい...
第十七夜 ラードガルのターマスティールタ2020.06.07 03:00 今夜も、アーシュラムのテラスに、人々が集まり始めました。空のテラスにも、星がひとつずつ出て、空は星でいっぱいになりました。やがてアーシュラムのテラスも、おまいりに来た人でいっぱいになりました。 お祈りが始まりました。お祈りが終わっても、少しのあいだ、人々はみんな、目を閉じて座っ...